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妹尾 ゆふ子『翼の帰る処2 鏡の中の空 下』

妹尾 ゆふ子『翼の帰る処2 鏡の中の空 下』(幻冬舎コミックス 幻狼ファンタジアノベルス ,2009-08,945円, ISBN978-434481740-1)読了。

翼の帰る処〈2〉鏡の中の空〈下〉 (幻狼ファンタジアノベルス)
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幻冬舎コミックス 2009-08
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四大公家のひとつ「黒狼公」となったヤエトのもとに、砂漠に巣食う盗賊を捕縛しようと第二皇子の使いがやってくる。その盗賊団と接触を試みたヤエトは、自らの恩寵の力と対になる未来視の力を持つ女性と出会い…。一方、兄である皇子同士の激しい後継争いを目の当たりにし、衝撃を受けた皇女は、ヤエトの助けを得ながら、自らの進むべき道を模索し始める。―陰謀と謎が渦巻く中、ヤエトの過去視の力が視た「真実」とは。(カバーより)

刊行が待ち遠しかった一冊。bk1への入荷と同時に特急便で注文し、届いてからはtwitterで実況(?)しながら一気読み。楽しかった~!

期待した(?)修羅場フラグは立たなかったけれど、ようやくヤエトと姫様の間に微妙な恋愛フラグが立ったようので、満足です。
皇女様がもうちょっと育てば、ヤエトの胸を騒がせる美女になる可能性があるわけですね。つまりヤエトはロリコンじゃなかったと(笑) 実はミアーシャさんあたりも結婚してなければヤエトの趣味だったかもと、ちらりと思いました。

新しい登場人物たちも出てきて今回も急展開。本人にはその気がないのに、周囲の人間たちが勝手に篭絡されていく、ヤエトの人たらしっぷりが素晴らしいです。敵役になるかと思われたギスケルですら、よろめいてるし(苦笑)。

おそろしくややこしい事態を(比較的)正攻法できちんと解決しようとするヤエト。幸か不幸か、それが出来てしまうほど能力は高い。帝国の人たちは、彼に野心と体力が欠けていることに感謝すべきなんだと思います。まあ、なまじ野心と体力があったら、さくっと殺されて終わりだったかも。

いままでほとんど人となりが語られることのなかった先代「黒狼公」のことが少しだけ出てきましたが、やっぱりヤエトと先代の「黒狼公」は似ているところがあるんじゃないかな。多分ジェイサルドも真上皇帝もふたりを重ねている気がします。かの人の死の原因はまだ語られていないのが気になります。戦死ではなさそう。

今回、ヤエト以上に印象的だったのは皇妹殿下。なんか、いろいろ持ってかれました。皇妹殿下が気になって仕方がありません。……これは恋?
実は私、ずっと皇妹殿下黒幕説を捨てきれないでいたんですね。でも今回のことで、少なくとも前回の皇女殿下への呪詛は皇妹殿下は無関係だというのが分かりました。ルーギンに対する感情も疑問だったんですが、今は、本当に好きだったのだろう(現在形かどうかは微妙だけど)という気がしています。
まあ、皇妹殿下が皇位継承をめぐる陰謀劇の中でなんらかのポジションについているのは間違いないですが。
……にしても、あの皇妹殿下とおつきあいして、叱っちゃったりできるルーギンってつくづく大物です。皇妹殿下のことをよく理解しているようだし、どうか二人で幸せになってもらいたいものです。

今回登場の第二皇子は、ヤエトをきちんと評価しているよいお師匠がいるのでポイント高し。見てる人はちゃんと見てるんですね。
というか、本人は自己評価が低いから気がつかないだけで、実はヤエトって皇帝の周りでは知る人ぞ知るひそかな有名人だったんじゃ……。皇帝からもこっそり目をつけられていた様子だし。

皇妹殿下から「愛を知らない」と評された人物のことも気になります。もしそれが第三皇子だとしたら、皇女様とDNAは同じなのに育ちかたの違いで、人としてのあり方も違った風になってしまったのでしょうか。早くにお母さんから引き離されたのかなぁ。あるいは伯父である西の旧帝国の皇帝に似てしまったのか……。

人間界だけでなく、神々的な次元でも新たな伏線が登場したので、これからの展開も楽しみです。
早く続きが出ますように!


(Alisato's 本買い日誌に載せたものですが、感想を募集している作者BLOG 積読山脈造山中: 翼の帰る処 2 鏡の中の空(下)へTrackBackを送るため、こちらにも転載しました)

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