妹尾ゆふ子『翼の帰る処 上』
妹尾ゆふ子『翼の帰る処 上』イラスト:ことき(幻冬舎コミックス 幻狼fantasia novels ,2008年10月,945円, 978-434481466-0)読了。
「過去視」の恩寵の力を持つ病弱な尚書官のヤエトは、派閥争い巻き込まれ帝国の辺境に左遷されてしまう。左遷先で気楽な隠居生活をと思っても、帝国の流儀に慣れぬ土地の者たちに任せておいては公務はうまく回らず、その上、太守として赴任してきた皇女の副官に任命されてしまう。鼻っ柱の強い皇女と物分りの悪い部下の間に立たされたヤエトは……。
ひさびさの妹尾ゆふ子のオリジナル作品。いままでになく日常のディティールが印象的で、登場人物たちの会話も楽しい。
作中に出てくる《化鳥の騎士団》というのは『竜の哭く谷』ですね。ということはあの世界とつながっているのか。でもって、ちらっと話にでてきた黒髪の詩人さんは『魔法の庭』のあの人ということになりますね。……下巻に出てくるのかなー出てこないかなー。
馬鹿な部下をもったヤエトの読んでいて胃が痛くなるような中間管理職哀史が1章で終わってよかった……。
その後は36歳の主人公と14歳の皇女さまという個人的に超萌える二人のやり取りにニヤニヤしっぱなし。果たして下巻でロマンス度は上がるのか? なにしろ妹尾ゆふ子の小説だからなぁ……。最後のあの状況などは普通の小説だったらフラグ立ちまくりなわけですが……。
皇女様の視点で読みながらいろいろ想像すると、とても楽しいです。
やっぱりヘコんでいるときに一番欲しい言葉を一番欲しいタイミングで言われたら、恋に落ちますよね。その相手はどんなことをしてでも手に入れるに値しますよねーー! 頑張れ姫様! 相手はえらく鈍感なので、前途多難だとは思うけど。
(Alisato's 本買い日誌に書いたのですが、感想を募集している作者BLOG積読山脈造山中: 翼の帰る処(上)へTrackBackが送れないので、こちらにも転載しました)
翼の帰る処(ところ)〈上〉 (幻狼ファンタジアノベルス) | |
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