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荻原規子『これは王国のかぎ』

荻原規子『これは王国のかぎ』(理論社)読了。

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紹介

失恋して最低最悪の気分の中で15歳の誕生日をむかえた「上田ひろみ」は、気がつくとアラビアン・ナイトの世界の魔神族(ジン)になって、王国のお家騒動に巻き込まれていた!

感想

ファンタジーの世界で失恋した女の子が自己セラピーする物語。氷室冴子『シンデレラ迷宮』(集英社コバルト文庫)とか、三岸せいこ「夜汽車にのって……」(少女マンガです。もしかしたら単行本未収録?)なんてのと同じようなお話。こういう物語には傑作が多いです。実感こもっているからかなぁ。この作品も面白いです。主人公が元気よくてけなげで可愛い。登場人物のハールーンもラシードもアズハルも可愛い、可愛い。語り口は女の子の一人称ですが、ちゃんと文章の書ける人が書いているからあぶなげがないし、多分作者自身の内部言語に近い言葉だからうそ臭くもない。

コバルト文庫とハードカバーの児童書の間に位置するジュヴナイルというか、正しいYAだと思います。 ほんとはこういう本はハードカバーじゃなくてソフトカバーで出して欲しいんだけど、そういうサイズの本があんまり定着しないみたいですね。新書よりちょっと大き目の、スニーカーブックスのサイズが一番ふさわしい気がする。
(1999.09.16)

ハードカバー版を読んで上記のような感想を書いたんですが、この本は後に中央公論新社から新書(C・novels fantasia)として再刊されました。

書誌情報

書名:『これは王国のかぎ』
著者:荻原規子
書誌:(理論社 ファンタジーの冒険,1993年10月,1733円,ISBN4-652-07301-1)


書名:『これは王国のかぎ』
著者:荻原規子
書誌:(中央公論新社 C・novels fantasia,1999年9月,945円,ISBN4-12-500614-8)
Amazon.co.jp: これは王国のかぎ (C・NOVELSファンタジア): 荻原 規子, 佐竹 美保: 本

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