高瀬美恵『アルーマ』
高瀬美恵『アルーマ』(幻冬舎文庫)読了。
紹介
「カラオケで歌うとヤバイんだってさ…」
新人歌手珠姫の歌う『ALUMA』は、死んだ歌姫・綾乃のつぶやきを歌詞にした曲だった。珠姫が『ALUMA』を歌うとき、少女たちは綾乃の幽霊を見る。『ALUMA』は呪われた曲なのか?
感想
ジェントルゴーストストーリーというのかなぁ、現代の日本を舞台にした「幽霊」が出てくる話ですが、ほとんど怖くなかったです。 着地地点は、ホラーというよりは果てしなくファンタジーに近い感じで、面白かったです。
2章に出てくる、成長したシンジとアスカの会話みたいな、珠姫に捨てられただめだめ男・府川とそのガールフレンド(?)橋本の会話が笑えます。姉御肌のどすこい女(スモウレスラーっていうより女子プロレスラー風らしい)、橋本の暴走ぶりがすばらしいっ。橋本〜、橋本〜、かっこいいっ、愛してるよっ! ほとんど和製『汚れた守護天使』のノリ。
『ALUMA』に引き寄せられる思春期の少女たちの描写は、なまじ身に覚えがあるだけに見てて恥ずかしくなるほど「イタい」というか、痛々しいというか……。
『ALUMA』の歌詞の謎の使い方は、とってももったいなかった気がします。こんな大ネタなのに〜。
あんまり怖くないのは、印象的なシーンを描写するのが得意じゃないから?人間は描けるのに、描写ができない人なのですね。ホラーやファンタジーより広義のミステリーの方が向いているかも。
書誌情報
書名:『アルーマ』
著者:高瀬美恵
書誌:幻冬舎 幻冬舎文庫,2000年10月,680円,ISBN4-344-40030-5
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