« C.L.ムーア 『大宇宙の魔女』 | トップページ | 高瀬美恵『アルーマ』 »

グリフィス『スローリバー』

ニコラ・グリフィス『スローリバー』(ハヤカワ文庫SF)読了。

amazonへ

感想

誘拐され、無一文で放り出されて富豪の娘が、身の代金を出さなかった親の所へも帰れず、ハッカーの女性のとこに身を寄せつつ、生活を再構成し、誘拐事件の真相を解いていく。これだけだったら、ただのミステリだけど、人々がIDチップで識別され、主人公の女性がバイオテクノロジーを駆使した下水再生場で働いているというのが、SFなところ。

主人公がハッカー女性と別れて、偽IDでまっとうな生活を始めようとしているのが”現時点”で、誘拐直後からの話や主人公の幼少からの話がカットバックで挿入される。こういう構成は読みにくいので、私はあんまり好きではないです。まあ、誘拐事件の真相を知ることで、主人公の再生が完了するので、こういう形になるのは仕方ないのかとは思うんですが。
下水再生場で事件が起こったりするのは、サスペンスフルで面白いです。

SFだけど、女探偵物を読んでいるのと同じような感じ。作者がレズビアンのせいか、ベッドシーンがほとんど女×女なのがちょっと変な感じ。いや別にいいんですけど、男と女が出てくると当然のごとく恋愛関係になだれ込む小説と同じような感覚で、女と女が出てくると当然のごとく恋愛関係になだれ込むというのが、なんか妙に感じただけです。でも、同性愛者の人たちは男女間の恋愛を描いた作品を読むたびに、こういう違和感を感じているんでしょうね。

書誌情報

書名:『スロー・リバー
著者:ニコラ・グリフィス/幹遥子訳
書誌:(早川書房 ハヤカワ文庫SF 1225 ,1998.3, 882円,ISBN4-15-011225-8)
Amazon.co.jp: スロー・リバー (ハヤカワ文庫SF): ニコラ グリフィス, Nicola Griffith, 幹 遙子: 本

|

« C.L.ムーア 『大宇宙の魔女』 | トップページ | 高瀬美恵『アルーマ』 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。