C.L.ムーア 『大宇宙の魔女』
C.L.ムーア 『大宇宙の魔女』(ハヤカワ文庫SF)再読。
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ああやっぱりいいなぁ。 1934年の作品なのに60年以上も経った今読んでも古びていない、というより、ひたすら幻想的な描写で読ませる作品だから、古びようがなかったとも言えますね。火星にも金星にも空気があって、火星美人も金星美人もいて、熱線銃と宇宙船しかでてこない「SF」。その上、プロットらしいプロットもなくて、宇宙の無宿者ノースウェスト・スミスが謎の美女と出会ってアブナイ目にあって自力または他力で辛くも危機を脱出するという話がほとんど。(たまには文明を一個まるごと崩壊させたりもするけど。)
それでも未だにこのシリーズが私を魅了しつづける理由は、やはりその幻想風景の描写とキャラクターの魅力にあるだと思います。シャンブロウやミンガの処女やイヴァラといった「敵役」の美女だけでなく、主人公のくせに影が薄いといわれるノースウェスト・スミスと相棒のヤロールも一度読んだら二度と忘れられない魅力的なキャラクターなのです。
ファンタジー読みの皆さんにぜひともお薦めの古典「SF」であります。
古典SFって今読むともうほとんど「ファンタジー」なのね。非科学的で(笑)。
(1999/03/22)
初版が1971年で、現在は品切れですが1999年に一度復刊したので、探せばみつかるんじゃないかと思います。松本零士描く一糸まとわぬ美女の表紙に臆することなく手に取ることをお薦めします。あの表紙は今では、ちょっとアレでございますよね。手にするのに勇気がいるとか、余計な事を期待しちゃうとか、そーゆー表紙でありましょう。
ちなみにノースウェストシリーズは、『大宇宙の魔女』『異次元の女王』『暗黒界の妖精』全3巻ですが、残りの2冊は入手しにくいかも。
書誌情報
書名:『大宇宙の魔女』
著者:C・L・ムーア 仁賀克雄/訳
書誌:(早川書房 ハヤカワ文庫 SF 36,1971年,546円,ISBN4-15-010036-5)
Amazon.co.jp: 大宇宙の魔女―ノースウェスト・スミス (ハヤカワ文庫 SF 36): C.L.ムーア, 仁賀 克雄: 本
書名:『異次元の女王』
著者:C・L・ムーア 仁賀克雄/訳
書誌:(早川書房 ハヤカワ文庫 SF 62,1972年,367円,ISBN4-15-010062-4)
Amazon.co.jp: 異次元の女王―ノースウェスト・スミス (ハヤカワ文庫 SF 62 ノースウェスト・スミス): C.L.ムーア, 仁賀 克雄: 本
著者:C・L・ムーア 仁賀克雄/訳
書誌:(早川書房 ハヤカワ文庫 SF 82,1973年,367円,ISBN4-15-010082-9)
Amazon.co.jp: 暗黒界の妖精―ノースウェスト・スミス (ハヤカワ文庫 SF 82 ノースウェスト・スミス): C.L.ムーア, 仁賀 克雄: 本
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