菅浩江『末枯れの花守り』
菅浩江『末枯れの花守り』(角川スニーカーブックス) 読了。
内容紹介
心の闇に付け入り、人を花に変えて異界へ連れ去ろうとする闇の姫君たち。その前に立ちふさがるのは、花守りの青年 青葉時実。
日本の様式美に満ちた妖かしの世界。
コメント
菅浩江は、こういう和モノの様式美の作品を描かせると上手いですね。知識が、付け焼き刃じゃないからなぁ。
闇の姫君たちをも翻弄する元気なおばあさんの出てくる「老松」が、一番評判がいいようですが、私は「寒牡丹」「山百合」が面白かったです。
「寒牡丹」は、タカビーな女優志望の少女の話。最後の啖呵がカッコイイ。
「山百合」は、ようやく自分がアダルト・チルドレンだと自覚した菅浩江(いままで、知らなかったの?)が、AC(アダルト・チルドレン)の狡さといやらしさをめいっぱい描き出します。私自身、多少ACの傾向があるので、「うんうん、わかる、わかる」という感じでした。
角川スニーカーブックス版は、カバーと挿絵が波津彬子。内容も波津作品を意識しているような……。
文庫版の表紙は別の人で、挿絵もなし。波津彬子の挿絵も捨てがたいけど、どうしてもイメージが引きずられてしまうから、文章そのものを味わいたいのなら文庫版を読むほうがいいかも。
書誌情報
書名:菅浩江
書名:『末枯れの花守り』
書誌:(角川書店 スニーカーブックス,1997年10月,800円+税,ISBN4-04-788702-1)
ネット書店リンク:【bk1/amazon/Yahoo】
書誌:(角川書店 角川文庫,2002年3月,514円+税,ISBN4-04-412007-2)
ネット書店リンク:【bk1/amazon/Yahoo】
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