カード『ソング・マスター』
オースン・スコット・カード『ソング・マスター』(ハヤカワ文庫SF) 読了。
内容紹介
人々の心を奥底からゆさぶる"魂の歌い手"ソングバードを求めて、若き恐怖皇帝ミカルはソングハウスを訪れた。ミカルが老境に達したとき、ようやく彼のためのソングバードが見つかる。全銀河をその歌声で魅了するといわれたソングバード アンセットの生涯を描く。
コメント
これは良かった。人物設定が『エンダーのゲーム』と似たような感じですが、結局作家は一つのメロディを変奏するだけなのかもしれない。発想はアンデルセンの『皇帝と鶯』だろうと思うんですが、カードの手にかかるとこういう話になっちゃうんだねぇ。
前半は、歌手養成学校であるソングハウスでのアンセットの生活、中盤はミカルの元でのアンセットの生活、後半はその後の生涯を描いています。どうもカードという人は、寄宿学校を描くのが好きみたいで、ソングハウスでの生活は『エンダーのゲーム』につながるものがあります。アンセットもエンダーと同様に一種の天才だし。
能力のある人間が疎外されるというのを描くのも上手いですね、カードは。
カードはSFというより小説です。もちろんSF的アイデアは詰め込まれているんだけれども、基本は『モンテ・クリスト伯』とか『レ・ミゼラブル』を面白がるような小説読みの人が面白がる「小説」としての面白さだと思います。
(1997.10.14)
書誌情報
著者:オースン・スコット・カード/冬川 亘訳
書名:『ソング・マスター』
書誌:(早川書房 ハヤカワ文庫SF 550 ,1984.3,\680+税,ISBN4-15-010550-2)
ネット書店リンク:【bk1/amazon/Yahoo】
これも現在品切れ中のようです。いい話なのになぁ……。
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