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久世光彦『怖い絵』

久世光彦『怖い絵』(文春文庫)

怖い絵

内容紹介

"怖い絵"と文学作品をモチーフにした私小説風連作短編集。テーマは死とエロスである。
「姉は血を吐く、妹は火吐く」「『死の島』からの帰還」「蝋燭劇場」「『二人道成寺』の彼方へ」「陰獣に追われ追われて」「誰かサロメを想わざる」「去年の雪いまいずこ」「豹の眼に射抜かれて」「ブリュージュへの誘い」という各タイトルが示すように、判る人には判るしかけがいっぱいである。


コメント

「姉は血を吐く、妹は火吐く」「陰獣に追われ追われて」「豹の眼に射抜かれて」といった、同性愛の匂いのする作品が面白かった。

ハードカバー版には、各作品で言及されている"怖い絵"の図版も収録されている。(文庫版は未見なので不明)
私が一番怖かった絵は甲斐庄楠音(かいのしょう・ただおと)の『二人道成寺』。確かに「穢い(きたない)」といわれて大正画壇を追放されたというだけのことはある気色悪い凄い絵。竹中英太郎の「陰獣」の絵も怖い。

でも、一番怖いのは単行本の装丁だった。ベージュの紙に黒く「久世光彦 怖い絵」と書いてある。さらに良く見ると「怖い絵」と大きく型押ししてある。このシンプルさが、なぜかとっても怖かった。

甲斐庄楠音の絵は後に岩井志麻子『ぼっけえ、きょうてえ』(角川書店)の表紙と口絵に使われた。インタビューによれば、岩井志麻子が甲斐庄楠音を知ったのは、この『怖い絵』がきっかけだったらしい。

書誌情報

著者:久世光彦
書名:『怖い絵』
書誌:(文芸春秋 文春文庫,1997年2月,660円+税,ISBN4-16-758101-9)
ネット書店リンク:【bk1/amazon/Yahoo

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