コリンズ『ミッドナイト・ブルー』
ナンシー・A.コリンズ『ミッドナイト・ブルー』(ハヤカワ文庫FT)
内容紹介
Tシャツの上に黒の革ジャン、懐には銀のナイフを忍ばせ、美しい顔には常にミラーのサングラスをかけた女。彼女の名はソーニャ・ブルー。この地球に存在する〈真世界〉に棲む吸血鬼たちを次々に倒してゆく、怖るべき力を秘めたヴァンパイア・ハンター。
英国幻想文学賞/ブラム・ストーカー賞受賞作。
コメント
読みはじめて改めて「ハードボイルドの文体」というものを実感しました。どうやら、私はタニス・リーなどの装飾過多な耽美な文体にいささか飽きてきていたらしく、簡素な文体がとても心地よかったです。
「過激な暴力、過激なセックス描写」という前評判にちょっと腰がひけてましたが、読んでみると、「こんなもん?」
確かにファンタジーとしては画期的かもしれないけれど、私はミステリや菊地秀行で鍛えられているからなぁ。これでびびってたら『羊たちの沈黙』は読めないです。(笑)
ソーニャ・ブルーは魅力的。「彼女」の暴力を読んで、なんだかスッキリしてしまった私は、結構ストレス溜まっていたのか?
サラ・バレッキーに菊地秀行を足したようだと思いましたが、もしかしてこの形容はファンタジーファンには通じないのかも。ネットサーフィンしていて思ったのは、最近の読者って、SFとミステリとファンタジーとホラーにくっきり分かれていて、あんまり守備範囲外の本に手を出さないらしいってことですね。栗本薫みたいな人はだんだん少なくなっていのかしら。
この作品は、それらのどのジャンルのファンからも支持される可能性をもっていると思います。だから、売れてるのね、きっと。
(1997.05.31)
書誌情報
書名:『ミッドナイト・ブルー』
著者:ナンシー・A・コリンズ/著 幹遥子/訳
書誌:(早川書房 ハヤカワ文庫 FT 229,1997年1月,720円+税,ISBN4-15-020229-X)
ネット書店リンク:【bk1/amazon/Yahoo】
続巻および外伝として以下の3冊がある
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