キャロル『死者の書』
ジョナサン・キャロル『死者の書』(創元推理文庫)
内容紹介
敬愛する童話作家マーシャル・フランスの伝記を書くため、作家の娘が住んでいる町を恋人とともに訪れたトーマス・アビイ。気さくで愛すべき人々が住む平凡な田舎町は、ある少年の事故をきっかけに「奇妙な」姿をあらわし始める……。
コメント
ホラー文庫華やかなりし頃発行され、"ファンタジー・ホラー"と呼ぶ書評が多かったので、すごく怖いんだとばかり思ってびくびくしながら読んだ。おかげで、ちょっと怖かった。読んでみたらそれほど怖い話ではなく、形態としては恋愛小説なのだった。 先入観なしで読んだら、もしかしてファンタジーだと感じられたかもしれない。実際、「あれはファンタジーでしょ」と言いきる人もいるのだ。
ひとりの物語作家の作品に魅せられた男の話である。本好きの人は身につまされるとみえて、冒頭の古本屋のシーンを絶賛する人が多い。
原題にも邦題にも仕掛けがある。ラストやテーマが作家の創造力であることを考えると、邦題より、原題のほうがいいと思う。ホラーっぽい邦題は、題名だけで怖い。
(1997.06.05)
書誌情報
書名:『死者の書』
著者:ジョナサン・キャロル/著 浅羽莢子/訳
書誌:(東京創元社 創元推理文庫 547-1,1988年7月,760円+税,ISBN4-488-54701-X)
ネット書店リンク:【bk1/amazon/Yahoo】
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