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谷山由紀『天夢航海』

谷山由紀『天夢航海』(朝日ソノラマ ソノラマ文庫)読了。

本屋のレジの脇にひっそりと置かれた同人誌『天夢界紀行』。それは、どこか別の星にあるパラダイス天夢界からの迎えの船を待つ異邦人たちの物語だった。
天夢界にあこがれる少女は、冊子に挟み込まれた船のチケットを手に入れるが……。

「この世界」になじめず、自分がホントウに属する世界にあこがれる「異邦人」たちを描いた連作短編集。最初の短編のタイトルの「ここよりほかの場所(That Special Place)」というので分かる人にはわかってしまうお話です。
 この手のものは、全然わからない人とすごく好きだと思う人と嫌悪する人に分かれちゃうんでしょうね。私はとても好きです。読む前から多分気に入るだろうということは解っていました。「痛い」話でありますが、中学時代の私に読ませてあげたかったなと思います。
「こんなのは逃避だ!」と断罪する人もいるでしょうが(赤木かん子あたりが何かいいそうだ)、これは逃げないで生き抜くためのサバイバルブックの最初の一冊なんだと思います。

気に入らない人は棄てずにブック・オフなり地下鉄の文庫コーナーなりに流してください。こういう本を必要としている人のところにちゃんと届くように。

書誌情報
谷山由紀『天夢航海』
朝日ソノラマ ソノラマ文庫 826
1997年11月
490円+税
ISBN4-257-76826-6

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